危機にある個人 – 劉暁波(りゅうぎょうは)さん Liu Xiaobo

獄中のノーベル平和賞受賞者と空っぽの椅子

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劉暁波さん

劉暁波(Liu Xiaobo)さんは2010年10月8日、中国における基本的人権のための非暴力の取組みが評価され、獄中でノーベル平和賞を受賞し、世界の注目を浴びました。発表後、刑務所で面会した妻の劉霞(Liu Xia)さんを通じて「平和、民主化、自由のために闘ってきた天安門事件の犠牲者すべてにこの賞をささげる」と語り、涙を流したと伝えられました。

中国政府はこの受賞を批判し、受賞式に出席しないよう、各国に圧力をかけました。しかし、多くの国の代表が参加する中で受賞式が行われ、獄中にいる劉暁波さんのために、また、中国政府への批判の意味を込めて、「空っぽの椅子」を用意しました。

1989年の民主化運動でも知識人として大きな役割を果たした劉暁波さんは、2008年12月、中国の政治改革を求める「08憲章」を起草しました。このことが原因で逮捕され、「国家政権転覆扇動」罪という根拠のない罪で懲役11年の判決を受けました。劉暁波さんの妻、劉霞さんも厳しい監視下に置かれています。

アムネスティは、中国政府が検閲によって人びとの表現の自由を弾圧している問題を訴えています。劉暁波さんや同様の理由で投獄されている人びとが即時・無条件に釈放されるよう、中国当局に要請しています。

自由を求めた「08憲章」

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劉暁波さんと妻の劉霞

劉暁波さんは、2008年12月に知人らとともに「08憲章」を発表し、自由・人権・平等が人類共通の普遍的価値であり、共和・民主・憲政が現代政治の基本的制度枠組みであることを訴え、中国が国連安全保障理事会の常任理事国として、また人権理事会のメンバーとして、人類の平和事業と人権の進歩に貢献することを求めました。

中国当局は2008年12月8日に、「08憲章」発表直後に劉暁波さんを拘禁し、その後半年間、警察は起訴もせず、弁護士との接見も許しませんでした。さらにその他の適正な手続きを踏まず、また拘禁場所も明かさないまま、半年にわたって劉暁波さんを拘禁し続けました。

2009年6月23日に政府転覆扇動などの容疑で正式に逮捕され、わずか2時間の審理の翌日、同年12月25日に判決を受けました。2010年2月に控訴が棄却され、11年の拘禁刑と政治権利はく奪2年が確定しました。

2017年6月、末期の肝臓がんと診断され、刑務所外の病院に移送されて治療を受けていましたが、7月13日、逝去しました。

出典:アムネスティ.:危機にある個人 – 劉暁波(りゅうぎょうは)さん Liu Xiaobo©アムネスティ2020