香港教育局は10月5日、香港独立の思想を拡散したのは香港基本法に違反するとして、九龍塘宣道小学校教師の教員免許を取り消したことを明らかにした。教師のどの行為が処分の対象になったのかの説明はなかったが、地元メディアによると「言論の自由とは何か」「香港の独立を支持する理由は何か」などの質問が入った問題用紙を配布していたという。
教師が生徒に、時事問題や人権について考えさせるのは、当然のことだ。それだけに、教師の資格を奪ったのは、あまりに不当で、あまりに重い処分だが、当局からすると、「教育者は、時事問題や政治や人権を議論すると職を失うリスクがある」という警告でもある。
香港では、国家安全維持法の施行後、表現の自由がますます奪われているが、教員の処分は、表現の自由が直面する厳しい状況をあらためて示している。
香港当局は、教育を検閲する口実に国家の安全を利用してはならない。また、香港の状況について生徒が抱く当然の疑問を考えさせようとする教師を処分すべきではない。むしろ、人権尊重を促進し、さまざまな意見を育み、子どもたちがいろいろな場で議論に参加できるようにするのが教育者の役割であり、政府はこの役割を奨励すべきだ。
背景情報
林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、香港政府が性犯罪などの犯罪以外の理由で教員免許を取り消したのは、今回が初めてだと述べた。また、「学校の教師は、その立場を利用して、国家と香港特別行政区政府を根拠なく中傷している」と非難した。
アムネスティ国際ニュース
2020年10月6日
出典:アムネスティ.:中国:香港:「独立」考えさせた教員 免許取り消し ©アムネスティ2020