中国:拘束100日超え 香港12人に法的権利の尊重を

香港の若者12人が中国沿岸で警備隊に拘束されてから、100日あまりが経った。自分で弁護人を付けることや家族と面会することを認められず、虐待や暴行を受けるおそれがある。中国当局は12人の人権を尊重し、私選弁護人や家族との接見を認めなければならない。

高速艇で香港を脱出した民主活動家ら12人が8月23日、中国海警局に拘束された。9月30日、深圳市の人民検察院が承認したため正式逮捕となり、捜査期間中の少なくとも3カ月間は、勾留されることになった。容疑は、2人が秘密裏の越境の計画、他の10人が秘密裏の越境だ。

この100日間あまりの間、12人は弁護人の選択を含む裁判手続における基本的人権を奪われてきた。家族らは何度も本人たちとの面会を求めたが、認められていない。家族が選んだ弁護人との接見も拒否されている。うち少なくとも6人が、弁護人を降りるよう圧力を受けた。12人は外部との連絡を絶たれているため、虐待や暴行を受けるおそれもある。拘束した者と外部との連絡を遮断するのは中国の警察がよく使う手で、今回の若者12人も相当追いつめられているものと懸念される。

中国当局は直ちに、12人に対し家族や私選弁護人との面会を認めるべきだ。また、彼らが暴行などを受けないよう保障しなければならない。

背景情報

逮捕されたのは、鄭子豪(CHENG Tsz-ho)さん、張俊富(CHEUNG Chun-fu)さん、廖子文(LIU Tsz-man)さん、喬映瑜(QUINN Moon)さん、鄧棨然(TANG Kai-yin)さん、李子賢(LI Tsz-yin)さん、李宇軒(LI Yu-hin)さん、黃偉然(WONG Wai-yin)さんを含む12人だ。うち2人は、逮捕時に18歳未満だった。

アムネスティがこれまでに行った数多くの調査で、中国本土で拘束されている人たちは、その多くが人権擁護活動家で、家族や私選弁護人に接見する権利が日常的に剥奪されていることがわかっている。被拘禁者の同意なく国選弁護人を付けられたり、私選弁護人が、当局の圧力を受けたりする。また、被拘禁者が「私選弁護人を解雇する」とか、「(家族に対し)弁護人はいらない」と言っているなどと、当局が吹聴することもある。これらの当局の手口は、事実上、私選弁護人を付ける権利を奪うに等しい。その結果、拘束された人はしばしば自身の法的権利が何なのかを知ることができず、不公正な裁判手続きに対しさらに無防備となる。

 

アムネスティ国際ニュース
2020年12月1日

出典:アムネスティ:中国:拘束100日超え 香港12人に法的権利の尊重を©アムネスティ2020