中国:内部文書が示す大規模なウイグル弾圧

新疆ウイグル自治区の施設で、イスラム教徒などの市民数十万人が虐待を受けている実態を詳述した、あらたな中国政府の機密文書が、白日の下にさらされた。

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は11月24日、「チャイナケーブルズ」と題した極秘文書を公表。極秘文書は同自治区における大規模拘禁の枠組みを詳細に記している。

これまで中国は、収容施設の存在を否定してきたが、その存在を裏付けるあらたな証拠が出てきたことで、政府の主張は一層空疎に聞こえる。

日を追うごとに、中国政府がウイグル人やカザフ人らに加えているおそるべき虐待について、世界中がもっと知るようになっている中、機密文書は、中国が途方もない規模で民族的、宗教的少数者に迫害を加えている現状を示している。

ここで明らかにされた人権侵害の実態は、アムネスティが元被収容者自身や現在収容されている人たちの家族から得た情報と一致する。

今度こそ、中国政府は、「施設は職業訓練所」などという空疎な反論をやめ、何十万もの行方不明の市民がどこで何をしているのか、安否情報を求める彼らの家族に対して、誠意ある対応をとるべきである。

中国は、隠すことがないのであれば、アムネスティなどが求めている独立した人権監視団の受け入れを今度こそ実現すべきである。

国際社会にとっては、今回の400ページにわたる機密文書の暴露は、中国に圧力をかけて人権侵害に終止符を打たせる好機である。

背景情報

アムネスティは2018年の調査で、新疆ウイグル自治区のウイグル人、カザフ人などのイスラム教徒らに対して、大規模な拘束、徹底した監視、政治的教化、文化的同化などを推し進めていることを明らかにした。

大規模な拘束は、同自治区で「脱過激化条例」が制定されたことが契機だった。同条例のもとでは、公私の場を問わずイスラムやウイグルの宗教や文化に関わる行為を「過激派」だと見なされうる。そのような行為には、「普通でない」ひげを蓄える、全身を覆うニカブや頭を隠すヒジャブを着用する、定時の祈り、断食や禁酒、宗教や文化に関わる本や文書の所持などがある。当局は、「テロへの対抗措置」だとしてこれらの対応を正当化した。

一方、身内を奪われた家族の多くは、周囲に相談すれば、当局からどんな仕打ちを受けるかわからないため、なすすべもなく不安に苛まれてきた。

ICIJが今回入手した機密文書は、11月24日に公表された。前週には、ニューヨーク・タイムズも同様の文書を公表している。

アムネスティ国際ニュース
2019年11月25日

出典:アムネスティ.中国:内部文書が示す大規模なウイグル弾圧©アムネスティ2019