HRWF (14.12.2017) – 2016年10月24日、全能神教会の信者2人、 江蘇省浦口(プコウ)区出身の46歳の楊軍(ヤン·ズン)とその妻の47歳の李梅(リ·メイ) (2人とも仮名)が中国警察に逮捕された。警察は拘留中に、この2人の食事に薬物を入れ、拷問し、時には気絶させたまま放ったと言われている。楊軍(ヤン·ズン)と李梅(リ·メイ)は双方とも、重度の精神的・身体的傷を負った。
時系列:逮捕
楊軍(ヤン·ズン)によると、10月24日午前10時頃、警官6人が強制的に家に押し入ってきた。
以下はその6人の一部である。姜従洲(ジャン·ツンゾウ)(湯泉街龍井コミュニティーの社会安全局のチーフオフィサー)。随伴は同じ部署の警官。趙華貴(ザオ·ファグィ)(湯泉街総合管理処の責任者)。随伴は局長代理。袁良紅(ユアン·リャンホン)(婦女連合会の責任者)及び高(南京市の浦口市公安局の国家安全グループのチーフオフィサー)。
警官は楊と李の逮捕状を取っていたが、2人に逮捕状を瞬見せただけだった。警官は2人の自宅からラップトップ1台、タブレット1台、携帯電話2台を押収した。次に警官は楊と李を南京市浦口区の湯泉警察署に強制連行した。罪状は「全能神を信じることは国家法の違反であり、社会の安全を乱す」であった。
警察署に到着すると、2人は引き離され、ガラス壁越しにそれぞれ独房に入れられた。
その日午後6時頃、警官は楊軍(ヤン·ズン)と李梅(リ·メイ)の頭に頭巾をかぶせてバスに乗せ、近くの時興宿舎の地下室に連れて行った。そこで2人は引き離され、国家安全局により密かに尋問された。
楊軍(ヤン·ズン)と李梅(リ·メイ)に対する残虐な拷問
楊は小さな部屋に拘束された。警官は彼に壁に向かって立ったままでいろと命令した。警官は彼を眠らせず、1日3回食事を与えた。
楊の報告によると、3日目の朝食の味が変であることに気づいた。目がかすみ、間もなく意識が朦朧としてきた。
半分無意識状態で楊軍(ヤン·ズン)は4人の警官に尋問された。彼らは全能神教会の情報を聞いてきた。 質問に答えるのを拒否すると殴られた。最初は顔を平手打ちされ拳骨で殴られた。次に床で身体を蹴られた。
次の数日、楊軍(ヤン·ズン)の報告によると、出された食事をまた食べたが、幻覚が見え目がかすみ、精神の異常を経験した。たとえば、声のコンロトールができなくなった。拷問は数日間続いた。殴られ、零下にさらされ、服を無理やり脱がされてエアコンの前で立たされているところをガードマンに見られて笑われた。
楊によると、釈放後の健康検査では、靭帯が損傷し、肋骨が折れ、あちこちにあざができて、身体全体が腫れ上がっていた。
隣りの部屋では、楊軍の妻李梅(リ·メイ)が同じような拷問で苦しんでいた。最初の2日間、強制的に立ったままにされ、眠ることが許されなかった。警官は繰り返し全能神教会について彼女に聞いてきたが、李梅(リ·メイ)は答えなかった。翌日食事の味が違うことに気づいた後、意識が朦朧としてきた李梅(リ·メイ)の報告によると、声や行動をコントロールできなかった。動き方がしばしばおかしくなり、自分の意思に関係なく突発的に笑い出し、ガードマンに質問していた。まるで薬物の影響下にあるかのようであった。
ある日、彼女は気絶した。意識を取り戻した時、「全能神!」と叫んだ。1人の警官が彼女の口を覆い、他の警官が彼女の顔を平手打ちで叩き始めた。彼らは彼女に怒鳴り、彼女を殴った。そしてまた彼女が気絶するまで、頭を床に叩きつけた。また彼女が目を覚ますと、警官達は全能神教会と仲間の信者の情報を尋ねたが、彼女は答えなかった。
まもなく李梅(リ·メイ)は幻覚を見た。その一方で、殴られ続けた。
2016年11月2日午後、李梅(リ·メイ)は湯泉警察署に連れ戻され、次に血液検査のために浦口病院に連れて行かれた。それから警察は浦口南京区にある石仏寺留置場に連れて行った。身体検査中、留置場の医者が彼女の傷に気づいた。留置場のある男性警官は、彼女を留置場に受け入れるのを嫌がっていた。留置場内で死ぬと思われていたのだ。留置場で死なれると、留置場の責任になる。警官と交渉後、石仏寺留置場は彼女を一時的に留置させることを許可した。
翌朝、李梅(リ·メイ)は気持ち悪くて吐いた。警官は彼女をまた病院に連れて行った。この時の医療報告によると、肺感染、低白血球、急性冠動脈症候群、急性筋損傷を患っており、担当医は直ちに入院が必要と判断した。
それにも関わらず、警官は彼女を刑務所に連れ戻した。しかし刑務所の医者は、医療報告書を読んだ後、彼女を刑務所に再収監することを拒否した。しぶしぶ警官はまた国家安全局に連れて行った。
それから数時間の間に彼女の様態が悪化し始めた。午後3時、彼女は病院に戻された。
生命が危ない状態であったため、病院は家族の署名を要求した。警察はその日楊軍(ヤン·ズン)と李梅(リ·メイ)を釈放するしか選択の余地はなかった。
このカップルはそれから数日間、朦朧とした意識と身体的苦痛にまだ苦しんでいた。この2人の報告によると、2017年2月に2人の身体は完全に回復した。ただし、このカップルの報告によると、この2人は自分達の居住区に住みながら、今も当局の監視下にある。
李梅(リ·メイ)の報告によると、彼女はこの入院で3,800人民元[約485ユーロ]を請求され、これは彼女本人が支払わなければならなかった。
拷問と薬物使用の傾向
全能神教会の他の多くの信者は、逮捕、殴打、拷問、薬物による拷問など、中国当局の手による非人間的な処罰に苦しんでる。その唯一の理由は信仰である。
2005年2月に、河南省の全能神教会のある信者が、帰宅途中で逮捕された。警察は彼女が妊娠中であると知っていたにも関わらず、拘留12日目に強引に彼女に薬物を摂取させた。投獄中の薬物と非人間的な処遇の結果、彼女は流産した。それから数週間と数か月間、警察は未確認物質を彼女に継続的に注射した。報道によると、彼女は3カ月間、支離滅裂(統合失調症)であった。
2012年12月9日、北京で他の信者が逮捕された。報道によると、無理やり薬物を摂取させられたことが原因で、8カ月間、精神疾患に陥った。
2013年6月29日に和龍市で全能神教会の信者が逮捕され、残虐に拷問され、焼かれ、強制的に食事で薬物を摂取させられた。
食事による強制薬物摂取なども含めた、全能神教会の信者に対する精神的・身体的な拷問については、他にも多くの事例がある。
国境なき人権は、欧州連合加盟国が全能神教会の信者に保護を与えて彼らを中国に送還しないように要求している。彼らは中国では逮捕されて拷問されるのだ。
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