人権活動家が危篤状態となる

留置所での黄琦氏(インターネット画像)

中国で勾留中の人権擁護にかんするウェブサイトの創設者が病気の末期症状に苦しんでおり、母親が国際社会に支援を呼び掛けている。

1990年、黄琦(ファン・チー)氏は、中国国内の人権侵害を暴くことを目的としたウェブサイト「64天網」を創設し、その後、サイト名称を「天網人権センター(Tianwang Human Rights Center)」に変更した。55歳の黄氏は過去20年間、国内で社会的弱者が発言の場を得られるよう働きかけ、弱者に対する正義を訴え続けてきたという。

このウェブサイトは2016年4月、国家機密文書「陳天茂の請願に関する綿陽市游仙区中国共産党政事法務委員会の報告」を公表したと、複数のメディアが報じている。2016年11月、黄氏は「違法に国家機密を海外に提供した」という嫌疑をかけられ逮捕され、先日、容疑が「国家機密の漏洩」に歪曲されたことで、最高10年の懲役刑に科される可能性が出てきている。

四川省の綿陽市拘置所に過去2年間収監されている黄氏の母親は先日、黄氏が高血圧を患っており、全身浮腫と腎不全といった末期症状に苦しんでいると明かした。黄氏の容態は非常に悪く、透析を行わないと勾留中に死亡する可能性があり、さらには、所内で頻繁に他の収容者から激しい暴行を受けているという。

母親の蒲文清(プ・ウェンチン)(85歳)さんは黄氏の治療許可を得るための請願運動を行っており、治療を受けられるよう黄氏の仮釈放を中国政府に要請して欲しいと、オンラインメディアを通じて、国際人権擁護団体と欧州連合に呼び掛けている。

9月10日、担当弁護士の劉正清(リュウ・ゼンチン)氏は、綿陽市の公安局に黄氏の医療記録の開示を申請した。

しかし、役所は2週間も経たずにこの申請を退け、「黄氏の全医療情報は、勾留中の容疑者の健康を守るために公安機関が実施した健康診断から作成されたデータであり、このような情報は政府の情報開示の範囲に該当しない」と告げた。

人権派弁護士、丁家喜(ディン・ジャシ)氏は先日、中国で人権擁護のために闘い死亡した劉暁波(リュウ・シャオポー)氏と楊天水(ヤン・チャンシュイ)氏の状況と黄氏の窮状が酷似していると断じた。黄氏の窮状を考えると、今後も予断を許さない状況が続く。

母親が黄琦氏の釈放を中国政府に要請するよう、オンラインメディアを通して国際社会に呼び掛けている。(動画のスクリーンショット)

姚長進による報告

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