宗教アプリ「カトリックの小さな助け手」がブロックされる

司祭らが監視下に置かれ、教会が閉鎖される中、中国の敬虔な信者はアプリに頼ってミサに耳を傾け、聖人の生き方を学んできた。今、その信者たちが完全に孤立している。

中国北部の河北 のある信者からBitter Winterに、地下のカトリック教徒がよく使っているアプリ「カトリックの小さな助け手」(天主教小助手)が予告なしにブロックされたという報告があった。

アプリ「カトリックの小さな助け手」のスクリーンショット画像。

「カトリックの小さな助け手」は北京カナンテクノロジー株式会社(北京客纳罕科技有限公司)が開発したモバイルアプリである。毎日のミサと聖書通読、聖務日課、聖人の生涯をはじめとする充実したコンテンツを配信している。教会員はアプリを使ってオンラインに投稿されたミサの朗読を唱えることができた。

2018年12月16日、河北省唐山 にある豊潤 の地下のカトリック教徒が、いつものようにミサの朗読を唱えようと、「カトリックの小さな助け手」を開いたところ、ブロックされていることに気づいた。

教会員の1人が、「政府はミサを聞かせてくれません」と、Bitter Winterに話した。「かつてバチカン放送が毎週日曜日にミサのコンテンツを配信していました。『小さな助け手』を使うと、その最新のミサを見ることができたのです。今では、最新コンテンツは見られなくなりました。集まりを持っても、以前記憶した内容しか読むことができません」。

河北省廊坊市に潜伏する カトリック地下教会 の信者もまた同じ問題を抱えていた。ある教会員が言った。「以前はアプリにたくさんのコンテンツがありました。講義や説教を聞くことができました。今はアプリを開けると、『規制に違反しました』というポップアップ通知が出てきます。スクリーンには何も表示されません。コンテンツがすべてブロックされているのです」。

Bitter Winterは過去にも、2018年のバチカンと中国間の合意 の署名後、カトリック地下教会 が以前にもまして抑圧に直面するようになったことを報じている。多くの地下の司祭が当局の尋問に召喚されたり、拘束されたり、自宅軟禁下に置かれたりしている。たとえ釈放されても厳しい監視下に置かれ、公にミサを祝うことは禁じられる。教会員のミサへの列席がますます難しくなっているため、大勢が「カトリックの小さな助け手」を利用していたのだ。

豊潤県の教会員は付け加えた。「政府は既に私たちの教会を封鎖しています。当局が司祭を抑圧しているのは、彼が 中国天主教愛国会 に加わろうとしないからです。司祭は故郷に戻り、農場で働くことを強いられました。今では教会でミサを取り仕切る人がいません。私たちは信仰を保つため、自宅で聖句を唱え、祈っていたのです」。

「以前は、毎週日曜日には『カトリックの小さな助け手』を使ってミサの成句を読んでいました。今は政府がこの経路さえ断ち切ってしまったのです」。信者は力なく続けた。「国は統制の手をどんどん厳しくしています」。中国とバチカン間の暫定合意について話しながら、信者は付け加えた。「教皇が容認すればするほど、中国共産党 は飽くことなく貪欲さを増していくのです」。

アプリを閉鎖する動きは、すべての地下カトリック教徒を政府公認の天主教愛国会に加入させようとする 中国共産党 の新たな試みだと考える教会員もいる。加入強制の肯定は、中国当局による中国とバチカン間の合意の拡大解釈から来ている。

「学習強国」アプリのスクリーンショット画像。

興味深いのは、中国では以上のように宗教関連のアプリ(Bitter Winterも含まれる)がブロックされている一方、すべての中国人にアプリ「学習強国」のダウンロードを勧める全国規模のキャンペーンが始まったことだ。中国共産党党員には使用が義務付けられているこのアプリは、習近平 国家主席の演説と文章を毎日配信している。Bitter Winterが記録したところでは、中国共産党党員と政府職員は毎日一定時間、アプリを使わなければならず、怠った場合は、解雇を含む重大な事態につながるという。

唐山市の教会員は当局の2つのアプリの扱い方と 文化大革命 との類似性を指摘する。毛沢東 は宗教を抑圧しながら自身への崇拝を要求したからだ。

出典: BITTER WINTER/